数字から見る東洋哲学
古代ギリシャ(西洋)では万物はすべて「地水火風」の四元素からなると考えられていました。一方東洋では万物のすべては五行の「木火土金水」の五つに分けられると考えました。西洋では四つの元素から成り立っていると考えるのに対して東洋では五つの元素に当てはめることが出来ると考える。これは似ているようですがとても大きな違いです。そして東洋では数字にあらゆるものを当てはめてきました。ここからは皆さんもどこかで見たり聞いたりと何となく知っていそうな数字を簡単にご紹介します。
「一」は太極です。全ての万物は一つのものから始まりました。現在の宇宙が形成するときに発生したビックバンと呼ばれるものです。
「二」は陰陽です。太陽と月、右と左、上と下、昼と夜、熱いと冷たい、男性と女性など全ての万物を二つに分けて当てはめる考えです。また太極を「大宇宙」としたのに対し人を「小宇宙」とした考えも陰陽です。
「三」は三才(さんざい若しくはさんさい)のことで「気」「血」「水」(きけつすい)のことです。これは今でも我々が治療をするときや漢方薬を処方するときに必要な考え方です。一日ならば「朝」「昼」「夜」ですし人生ならば「生」「旺」「墓」(せいおうぼ)と例えます。また世界を表現するときの三才は「天」「地」「人」が有名ですが「天」と「地」の間に「人」がいるので正確には「天」「人」「地」だと教わりました。
「四」は四季です。人はもちろんのこと全ての生き物は気象を無視出来ません。ちなみに一日だと「朝昼夕夜」の四つに例えます。また「青龍」「朱雀」「白虎」[玄武」の四神も含まれます。
「五」は「木火土金水」から成る五行です。これに陰陽を足した陰陽五行は治療に欠かせません。人体を五つに分類して例えた「五臓六腑」は陰陽五行説からきています。五つの臓器を陰に、六つの腑を陽と例えました。(ちなみに我々は六臓六腑で診ています)また四季でも五行を使います。春夏秋冬プラス季節の変わり目のことを土用といいます。なので土用は一年間に四回あります。有名なのは夏の土用ですが本来「土」の作用が強い土用は消化器系の力が弱くなる時期です。なのでお腹にやさしい物を食しましょう。しかしそれに困ったうなぎ屋さんが平賀源内に相談したところあの偉い先生が言うなら間違いないと世間に広まり現代に続いてるのは有名な話です。
「六」は「六曜」のことです。「六曜」といきなり言われるとピンとこないかも知れませんが日本の方ならほぼほぼ知ってらっしゃるでしょう。どうぞカレンダーで確認して下さい。「大安」「先勝」「先負」[友引」「赤口」「仏滅」と六つの暦のことです。読み方は流派によって違いますが「大安」(たいあん、だいあん)は一日中が吉の日。「先勝」(せんしょう、せんかち、さきかち)は午前中が吉の日。「先負」(さきまけ、せんぷ、せんまけ)は午後が吉の日。「友引」(ともびき、ともひき)は朝晩が吉で昼が凶。勝負の決着がつかない日。「赤口」(せきくち、あかくち、じゃっこう、しゃっこう、しゃっく)は正午前後のお昼のみ吉。それ以外は凶。また火の元や新品の刃物を扱うと凶。「仏滅」(ぶつめつ)は一日中が凶の日のことです。
「七」は「七曜」のこと。肉眼で見えた「木星」「火星」「土星」「金星」「水星」に加えた「太陽」と「月」を合わせた占星術です。
「八」は易の八卦のことです。私たちは「はっか」と呼びますが一般的には「はっけ」と呼ばれてます。世間では「当たるも八卦当たらぬも八卦」とよく使われています。「八卦」は八つの陰の卦と八つの陽の卦を使い八✖八つまり六十四卦を事象化し読み解く技術です。そして細分化すればするほど的確になります。陰の中には更に陰がある。陰中の陰。更に陰が含まれてれば陰中の陰中の陰。陽でも同じことがありますし陰の中に陽があれば陰中の陽となりとにかく読み解く人間の技量がとても重要になってきます。これは諸説あるそうですが相撲で行事さんが使用する「はっけよい残った」という言葉。土俵の上は八卦が揃っていてとても神聖で良い場所なので残った者が勝ち。という話を聞いたことがあります。
「九」は気学九星のことです。これは「七曜」を基礎としさらに五行を加えた占星術です。現代でも書店にいけば九星の本はたくさん出版されています。
「十」は「十干」のことです。これまたピンとこないかも知れませんが皆さん確実にご存じだと思います。「十干」とは「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」「己」「庚」「辛」「壬」「葵」のことです。読み方は順番に「こう、おつ、へい、てい、ぼ、き、こう、しん、じん、き」と読みますがもう少し詳しく説明します。この十個の漢字は二つで一組と考えますがこれらを「陰陽五行」に当てはめます。「甲乙」は木、「丙丁」は火、「戊己」は土、「庚辛」は金「壬葵」は水です。そこに更に陰陽を当てはめます。「え」は陰の意味として「と」は陽の意味です。そうすると「甲」は五行で「木」のくくりで更に陰。つまり「甲」は「きのえ」と読みます。同じく「乙」は木のくくりで陽なので「きのと」となります。同じ要領で読んで行くと「丙」(ひのえ)「丁」(ひのと)「戊」(つちのえ)「己」(つちのと)「庚」(かのえ)[辛」(かのと)「壬」(みずのえ)「癸」(みずのと)と読めるわけです。
「十二」はお分りだと思いますが「時」の表記です。現代に置き換えると1時から12時であったり1月から12月までであったり。あと皆さんが身近な表記だと十二支ではないでしょうか。言わずと知れた子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥です。これを先ほどの「十干」と[十二支」をあわせたものが「干支」(かんし)と書いて(えと)と読みます。この「十」と「十二」を掛け合わせてまた同じ「干支」になるのが六十年後。なので六十歳の誕生日を「一回りした暦」と書いて「還暦」と言います。ちなみに高校野球、阪神タイガースの聖地は「きのえのねどし」に出来たので甲子園という名前が付けられました。
「二十四」これも暦ですが日本人は十二の月をさらに細分化し二十四節気を取り入れました。日々の気候などを直接肌で敏感に感じていたからでしょうか。
上記に書いたものは全て旧暦、太陽暦で考えます。なので一年の始まりは節分(立春)からと考えます。干支や九星などは1月1日のお正月ではなく節分から分かれてると思って下さい。
そしてここで紹介したような数字を直接または間接的に使いながら身体や病気の症状に当てはめ治療にも役立てています。